思い出話。
私が一番シンセサイザーにはまっていた時期は、高校2年生くらいで、当事はDX7がもたらした影響からか、いっせいにデジタルシンセへと移行しました。そのころも、mini moog やprofhet 5なんかは、ビンテージで、重宝されていたし、何より高価でした。
アナログ特有の分厚い音は出ので、プログレッシブロックなどでは重要な位置にいましたが、
当時流行のきらびやかなサウンドは出ませんでした。
その頃に活躍していたのが、FM音源等のきらびやかなデジタルサウンドです。
KORGのものはあまり有名ではありませんが、KORGのDS-8、ヤマハDX7シリーズ、Roland D-50が、
キーボードマガジンの広告を飾りました。

D-50やヤマハの上位機種である、DX7UFDは、高校生にはどう背伸びしても届かない値段でした。
(ともに25万くらいだったかな?)当事はあこがれましたね〜
で、アルバイトをして、必死で買ったのが、KORG 707です。(49鍵)
内容は、FM音源方式で、(公式にFM音源とは謳っていないうえに、DX7ほど音がいい訳でもなく・・・)
非常にチープな音しか出ませんでしたが、DX7sしか持っていなかった私には、キーボードを二段に重ねて左側にピアノを置くといった、
なんちゃって一流キーボーディストになりきっていました(笑

この707、当事としては異例のマルチティンバー!(なんちゃってですけど)
同時発音数が8音しかないのですが、その8音を設定しだいで、最大8chに分散して、
各音色を鳴らすという芸当が可能でした。
(DX7sは同時発音数16で、マルチティンバー機能はありませんでした。)
妄想では、リードと、コード、ベースとドラムといった使い方が出来るのですが、
どの音色もチープすぎて、とても本気でマルチティンバーで鳴らす気は起こりませんでした。
ドラムの音なんて笑ってしまうほどです。古い機材といえば、いい意味でTR-808みたいな機材を思い起こしますが、
この707の音は、箸で茶碗をたたく程度の音しかなりませんでしたから・・・

そして、高校を卒業し、アルバイトできる時間も増え、憧れだったRoland D-50を買う決意を固めます!!
ついに!!

とおもいきや即効断念・・・

展示処分品で10万円ほどで出ていた下位機種のD−10 を購入。
きらきらした音は出たものの、理想にえがいていた、あのD-50のブラスサウンドは手に入りませんでした。

この頃から、PCM技術がだんだんと進歩してきて、KAWAIのK-1などのシンセが大ヒットします。
CASIOなども結構がんばっていた時期ですが、当事、カシオのブランドイメージはあまりぱっとしたものではなく、素人が大枚はたいて、DX7UやD-50をスルーして、CASIOを買うということはあまりなく、
その後撤退してしまいます。

そして、DS-8で辛酸をなめていたKORGがついに、世界的ヒットとなるM−1を投入。
巷のプロはこぞって使い、アメリカの有名プロデューサーは、M-1のドラムトラックをそのままアルバムに起用するまでに至り、ますますM-1人気に拍車がかかりました。
(当事、シンセ内臓のドラムサウンドをアルバムに利用するということはほぼ異例であった)
この時代のシンセたちには、リアルな生楽器を再現できるほどの性能はありませんでした。

ですが、貧乏学生の私に、そんな高価なシンセが買えるはずもなく、アルバイトの日々・・・

はじめは、4trカセットテープ式MTRで、ポコチカ音楽を作っていましたが、あまりの音のしょぼさと、
MTRをピンポンしたり、ダビングしたりする際の音質劣化に嫌気が指し、
シンセを買うより、まずは、録音に耐えうるピアノと、シーケンサーを購入すべく資金繰りが始まります。

そして、念願のPC98と、クラビノーバ(電子ピアノ)を手に入れ、初めてのコンピューターミュージック!!

当事としては、本物と聞き分けがつかないくらいリアルなピアノ、クラビノーバと、
きらびやかなD-10、さまざまな音色のクリエイトが可能なDX7s、チープすぎてうっすらシーケンスフレーズを重ねるのがせいいっぱいの707
これだけそろえても、音楽の知識もなく、ピアノも習ったことのない度素人の作れるものなんて、
たかが知れていましたが、機材に囲まれているだけで、ミュージシャン気分でした。

ここでお金を使い果たしてしまいましたが、プロも使っているような本格的な音源がほしくなります。

M-1以降各社が新しいモデルを開発する中、とうとう発売された、YAMAHA SY77!!
この画期的シンセは、PCM波形をもとに、6オペレーターのFM音源と合成、シンセサイズできるというもの!

シンセサイザーとしては異例のテレビコマーシャルまで流れるほど力を入れ、心血を注いだモデルでした。
リアルなフレンチホルンの音や、シタールの音、プロフェット5のリード音を彷彿とさせる分厚い音・・
どれをとっても、新世代の音の渦!
次に買うのはこれだ!と思い、またバイトの日々・・
しかし、うちには、クラビノーバやら鍵盤つきシンセがごろごろ転がっているので、
はったり的には鍵盤のついたSY77がよかったのですが、スペース上音源モジュール版のTG77を購入。

このTG77を購入したことで、32trのシーケンサーを使い、素人が作ったにしては、きれいな音で音楽が作れるようになりました。(音楽のレベルは別として)
記録媒体が、カセットテープであったにせよ、ピンポンやオーバーダブなどの繰り返しをしなくなってすんだ分、マスターテープも、そこそこの音質で聞けるようになりました。

今みたいに、DTMなんて言葉がなかった時代ですし、周りにこんなことしている人もいませんでした。
当然インターネットもないので、情報源はキーボードマガジンのみ。

そして、ついに憧れのサンプラー AKAI S1000 !
当事サンプラーなんてものは、お金持ちか、プロしか持っていない代物で、
何しろ記憶装置が異常に高く、RAM 2MBあたり4万円程度するような時代でした。
本体が30万程度していましたから、8MB拡張で、40万超です。
いまなら、何でも出来るワークステーションシンセを、フル装備できるほどの金額ですよね。
CD-ROMなんてものもありませんでしたから、普通のCDを自分でサンプリングして、ループやエンベロープなど組んでました。

そこで度素人が作った、古い音源を使った曲の紹介です。
シーケンサーは、当事、軽快な動作と、わかりやすさ、編集中や再生中にでも自由にセーブが出来るというような便利さで定評だった、KUWATECの Tool de music です。
1990年代前半から現在に至るまで使っていました。(ここ10年は、MIDIの制御程度にしか使っていないので、DTMは浦島太郎です。当然WINDOWSで音楽なんて作ったこともありません。)


Song title "FOREST"

スネアと、バスドラムは、D-10
ピアノはクラビノーバ。
人の声や、虫の声、ウィンドベルなんかはS1000(当事、大きなメモリーを積んだサンプラーにしか、このようなことは出来なかった)
サックスは、あとから差し替えてしまった音なので、RolandのJV-880
パッドやフルート、ブラス、ベース、ギターなどはTG77
ピアノソロの前のSEや、シンセストリングスはDX7s

差し替えたサックスのJV880以外は、TG77多用しています。
とりあえずこの頃は、リバーブしかもっていませんでしたし、作曲技術、演奏技術、編集技術もなかったので、これが限界です。
これを作ったときは、自分で感動しましたが(汗
たぶん1993年ごろです。

何しろ昔の思い出話なので、シンセの登場時期などが前後していると思いますがご了承ください。
PCM時代の幕開け。
TG77で大容量!PCM(たぶん4MB)を搭載して以来、各社、PCM音源を次々に発表します。
YAMAHA SY99

KORG 01W

ROLAND JVシリーズなど

WAVESTATIONなど個性的なものがあったにはあったけど、シンセといえばPCMの時代でした。
中でもJVは、いまだにエキスパンジョンボードを使用されていることからわかる通り、PCM波形としては、非常に優れた音源でした。
01WのPCMは、生楽器などの再現性は乏しく、一部プロがオルガンの音色などで愛用して、
ちょっとしたビンテージモデルとして扱われていましたが、特別好きな音色がある!という場合でない限り、必要な音源ではありませんね。

ちょっと丸い音で、ROLANDなどと、オケで混ぜると、どうしても音負けしていました。
ローランドが勝ちすぎてるんですけどね。

このようなPCM全盛期には、まだまだPCのパワーなんてものはたかが知れており、ソフトウェア音源などというものも、最高級パソコンや、そこそこ高価なソフトとして売られていました。
音色はsc-55より劣りますし、もちろん、キーボードでリアルタイムに演奏するなんて芸当は出来るはずもありません。

海外勢EMU、Kurzweil、Ensoniqなども、個性的なPCM音源を排出していました。
とくにEnsoniqは、リアルさはないものの、独特のコシの強さで、オケ負けしないうえ、
単体で聞くとたいしたことのない音色も、オケに入ると、際立ってよく聞こえる音色が特徴でした。

この後、Trinity、JV2080、カーツウェルのMP-1など、当事としては、生楽器そのもの?
と思わせるほどの高品位なPCMモデルが登場し、それまでは、シンセ内臓エフェクトなんて、
リバーブ、コーラス、ディレイくらいしかなかったところへ、ディストーションなどの特殊エフェクトも自在に扱えるようになっていきました。

このあたりで、私の熱が次第に冷めて生きます・・・
PCM音源は、NEWモデルのシンセを購入しても、昔の波形の使い回しが多かったり、
当時の技術では、波形の加工に限界があったため、突き詰めれば、どの会社のどのモデルも、
いってみれば似たような音しかならなくなってしまったのです。

機材の一部



DTM最高峰音源
シンセサイザーの熱が少し冷め、PCを購入しに、大きな電気屋さんにいったときのこと。
当事DTMが流行っていたのは知っていたけど、その音源を使って、プロが打ち込んだものっていうのはほとんど聴いたことがありませんでした。
そこで、その電気屋さんの一角にDTMコーナーが設置されており、雑踏の中で聞こえてきたSC−88proの音色!
確かに、最高級シンセたちと比べるのは酷ですが、楽器のシュミレーションに関しては、度肝を抜かれました。リアルタイム入力でピアノ音色程度しか弾かない私には、カルチャーショックでした。
流れていたのは、ヴァンヘイレンのアルバム、「1984」の中のパナマとかほか何曲か。
人ごみの中で聞いた打ち込みのギターソロは、本物にしか聞こえませんでした。
ドラムとかは打ち込みだなって感じでしたが、それでも、あの価格帯の音源で、あそこまで再現できたのはすごい!音源の性能もさることながら打ち込んだ人の技術もすごい!

時代はここまで来たのか・・・と思いました。
と同時に、MIDIエクスクルーシブメッセージなどを多用した打ち込みデータは勉強不足で、
勉強もせず、自分に出来ることだけをやり、いつの間にか遠ざかってゆきました。
独自路線
シンセサイザーの音色に興味がなくなり、カーツウェルのピアノ音源MP-1と、ROLANDのベース、ドラム専用音源M-BD1しか使わなくなりました。
簡単なオケなら十分に出来上がるし、自分で作る曲も、トリオ、カルテットくらいのものしか作らなくなたためです。
その分演奏能力が要求されるのですが、まあそんなものありません。

私は、このHP以外にもHPをやっていまして、そこでちょっとしたビデオのバックに作った曲を乗っけてみます。

比較的近年(2年前くらい?)に作ったもので、古い音源などは手放してしまったため、
限られた機材で作っています。
2時間くらいで作った音楽ですし、何より編曲能力の低さが目立ちます・・・

ビデオに興味のある方は・・
http://www16.plala.or.jp/naotugu/ending.html

そして、悠久の時を経て、この右も左もわからない「DAW」の世界に舞い戻ってきてしまいました。
次からは、やっと・・新音源や、新しい環境での製作・・・までは行かないと思うけど、
まあぼちぼちなれていこうかと・・